見た目は小さい虫歯なのに、予想していたよりも大きく歯を削られてしまったという経験はありませんか?
これは、虫歯の進行の早さが、歯の表面と内部で大きく異なることに原因があります。
図1の虫歯のイラストをご覧下さい。
歯の内部にある象牙質は、表層にあるエナメル質と比較して虫歯菌が産生する酸に対して抵抗力が弱いため、象牙質での虫歯の進行が早くなります。そのため小さい虫歯だと思っていても(図2)表面のエナメル質を削っていくと、中から大きな虫歯が出てくる結果となります(図3)。ですから決して虫歯が小さかったわけではありません。
このような虫歯をきれいに取り除くには、表面の健全なエナメル質を削って入り口を大きくしなければなりません。そうしなければ虫歯を取り残す可能性が大きくなります。特にエナメル質と象牙質との境界部分は虫歯を取り残しやすい部分で(図1 参照)、虫歯を残したまま詰め物をしても虫歯菌が生存していれば、いずれ虫歯が再発してしまう危険度が高くなります。
というわけで、見た目が小さい虫歯でも実際は内部で大きな虫歯になっていることが多いので、小さい虫歯を過剰に大きく削っているのではないことをご理解いただければと思います。
図1虫歯進行のイメージ 虫歯は象牙質での進行が早いので、内部の見えない所で大きくなっていることが多い
図2治療前 奥歯の溝の一部が茶色くなっている
図3表面のエナメル質を削っていくと中から大きな虫歯が出てくる