暑い季節になると冷たいものを食べたり飲んだりする機会が多くなりますが、冷たいもので歯がしみたりしたことはありませんか? もちろん虫歯が原因で歯がしみることはありますが、虫歯でなくてもしみることがあります。 これを知覚過敏といいます。 図をご覧ください。 通常、歯の表面はエナメル質という硬い結晶で覆われています。ここは感覚がないので、しみることはありません。しかし加齢や歯周病、歯ブラシによる歯肉への過度な刺激や、異常な噛み合わせなどが原因で歯肉が痩せてくると、エナメル質で覆われていない部分が露出します。この露出した歯質は象牙質と呼ばれ、その中にある無数の細い繊維は、歯の中心にある神経(歯髄)と繋がっており刺激を伝達します。そしてこの象牙質に刺激が加わることによって知覚過敏が生じるのです。 歯磨きをして痛みを感じるのも知覚過敏で、歯ブラシの先端が象牙質を刺激することにより引き起こされます。ただし歯がしみるからといって歯の根元を磨かないでいると、付着している歯垢によって歯の表面が溶かされ、よりしみやすくなります。通常、知覚過敏は歯周病の治療や適切な歯磨きで徐々に改善していきます。しかし歯の根元の歯質がクサビ状に欠けてしまっている場合は、歯をきちんと磨いても症状が改善しないことがあります。これは歯ぎしりなどの異常な咬み合わせの力によって、歯の根元に大きな歪みが生じ、歯の構造が崩壊してしまうからです(2019年6月コラム参照)。このときは咬み合わせの調整や、場合によってはマウスピースの装着が必要になります。またクサビ状に欠けた歯質は、症状の改善と歯の形態回復を目的として、歯と同じ色のつめ物をすることがあります。 もし虫歯がないのに歯がしみる場合は、歯肉が痩せていないか、もしくは歯の根元がクサビ状に欠けていないかを確かめてみてください。