金属の土台(コア)を使用した時の歯への影響は?

金属の土台(コア)を使用した時の歯への影響は?

コラム

2017.11.28

歯の神経(歯髄)が無く大きく崩壊している歯は、歯質を補強するためにまず歯の中にコアとよばれる土台を入れてから被せ物(クラウン)を装着します。

今までは金属性のコア(メタルコア)が歯の補強には最適とされていましたが、実はメタルコアが歯に悪影響を及ぼす場合が少なくないことが分かってきました。

メタルコアは歯質に比べてかなり硬い物性を有するため、咬み合わせの大きな力が歯に加わると、メタルコア先端部に大きなひずみ(応力)が生じます(図1)。この応力によって歯が折れてしまい(図2)、再治療が不可能となって抜歯になることがあります。

このような歯への負担を軽減しより安全な状態を保つために、当院では歯に近い物性をもったファイバーポストコアと呼ばれるコアで歯を補強します(図3)物性が歯に近似していることと強力な接着材料の使用で、メタルコアで見られたコア先端部での応力をできるだけ小さくして歯が折れることがないように配慮しています。

またファイバーポストコアは物性的に有利なだけでなく審美的にも歯と同じ色調なので、メタルコアのように歯の色や歯肉が暗くなったりすることがなく、その上部に装着するセラミッククラウンが透明感のある自然な仕上がりになるといったメリットもあります。

図1

図1 咬み合わせの力によってメタルコア先端部に応力が集中します

 

図2-1図2-2

図2 メタルコアによって歯根が折れた症例(矢印が破折部)

図3-1図3-2

図3 歯の物性と近似したファイバーポストコア.見た目もきれい

監修者情報
監修情報

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長

東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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