過換気症候群はどんな時に起きる?
2020.7.28
虫歯などで歯科治療をしなければならなくなった時に不安や緊張は付き物ですが、極度の精神的不安や恐怖心によって呼吸が早く深く(過呼吸)なって様々な症状が発現することがあります。これを過換気症候群といいます。過換気症候群は神経質な人や緊張しやすい人に多く、特に精神的ストレスを受けやすい若年者に多いと言われています。
過呼吸になると血液中の二酸化炭素濃度が低くなり血液がアルカリ性に傾く(アルカローシス)ことで血管の収縮が起き、手足のしびれや痙攣、動悸や胸の痛みが生じることがあります。
過換気による発作を鎮めるには血液中の二酸化炭素濃度を上げる必要があります。そのためには不安や緊張を解いてあげてゆっくりと呼吸させるようにすれば症状が徐々に改善します。本人は窒息するような呼吸困難さを感じていますが、血液中の酸素は十分足りているので窒息したり命が危険になったりすることはありません。
過換気症候群になった時に紙袋を口にあて、二酸化炭素濃度を上げる方法(ペーパーバッグ法)がよく知られていますが、低酸素症になり逆にリスクが高くなる可能性があるので現在は推奨されていません。
歯科治療も慣れてしまえば精神的不安はなくなり、過換気の発作を起こすことはほとんどありませんが、発作を繰り返す場合は不安障害やパニック障害などの精神的な病気が疑われるため、心療内科や精神科の受診をお勧めする場合がありますのでご了承ください。

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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