歯肉や口蓋にできた硬い腫瘤は病気?
2013.8.15
下顎の舌側部の歯肉や口蓋の中央部に硬い腫瘤ができることがよくあります。この腫瘤を悪性腫瘍ではないかと心配される方がいらっしゃいますが、これは骨隆起(外骨症)といわれるもので骨が外側に限局的に増殖する現象であるため、特に心配する必要はありません。
骨隆起は30~50歳台の女性に多く見られ、好発部位は下顎小臼歯部の舌側(図1:下顎隆起)と口蓋の中央部(図2:口蓋隆起)です。それ以外では上顎大臼歯部の舌側や頬側(図3)、下顎前歯部の唇側(図4)にも見られることがあります。
発症の原因は、遺伝的要因とも、強い咬み合わせによる顎骨へのストレスによる骨の増殖とも言われていますが、はっきりとした原因は分かっていません。
骨隆起は日常生活に支障がなければ特に何もする必要はありません。ただし骨隆起が大きくなると食べ物が当たって粘膜を傷付けたり、口蓋隆起の場合は大きくなると発音障害を引き起こしたりすることもあります。また入れ歯を入れる時に骨隆起部に圧がかかりやすく粘膜が傷付きやすくなるため、これらのような問題が生じる場合には骨を外科的に削除しなければなりません。
図1 下顎小臼歯部舌側にできた骨隆起(下顎隆起)
図2 口蓋中央部にできた骨隆起(口蓋隆起)
図3 上顎大臼歯部舌側にできた骨隆起
図4 下顎前歯部唇側にできた骨隆起

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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