歯肉が急に白く壊死して痛みや口臭が発現する病気は何?
2013.5.1
慢性的に歯肉炎のある人が体調を崩した時に、口腔内の細菌が歯肉内に感染して歯肉が白くただれたように壊死し、強い痛みを伴うことがあります。この病変を壊死性潰瘍性歯肉炎といいます。
これは体調不良によって細菌に対する抵抗力が弱まるために引き起こされます。
歯肉の壊死は図1・図2のように歯の根元の辺縁歯肉から限局的に発症することが多く、ひどい場合は口蓋や口底部の粘膜まで広がることもあります。
症状は歯みがきができないほど接触痛が強く、不潔になりやすいため口臭も悪化します。
治療方法は壊死組織を含めた口腔内の十分な清掃と消毒剤の入ったうがい薬の使用、さらに抗生物質の投与が必要となります。これらの処置と体調の回復があれば通常2~3週間で治癒します。
もし体調の改善がなく歯肉の壊死がさらに広がる場合は、白血病やエイズ、他のウィルス性疾患も考えられますので、血液検査を含めた精密検査が必要です。
図1・図2 壊死性潰瘍性歯肉炎
辺縁歯肉が限局的に壊死し、白くただれている

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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