歯科医院で売っているガムは虫歯にならない?
2022.7.26
多くの歯科医院で歯科専売のガムが売られています。甘くておいしいですが、これらのガムには虫歯を予防する効果があります。
虫歯は、ミュータンス菌などの虫歯菌がグルカンという粘着物質を作り歯面に付着します。そこから細菌が増殖して歯垢(プラーク)が形成されます。この歯垢が砂糖を栄養にして酸を放出し、歯を溶かしていきます。これを脱灰といいます。
歯科医院専売のガムは脱灰を防ぎ、溶けかかった歯面を修復する働きがあります。これを再石灰化といいます。(既に穴の開いた虫歯は治療が必要です)
図1~3は代表的な歯科医院専売のガムです。
共通点は、歯垢の中の虫歯菌が酸を産生するための栄養となる砂糖や果糖、ブドウ糖などの糖質が一切含まれていないことです。糖質に代わる甘味料として、皆さんがよくご存じのキシリトールなどの糖アルコールが含まれています。
表1ではどのガムにも再石灰化を促進させる成分が含まれています。キシリトールのみガムよりも再石灰化有効成分が含まれているガムのほうが、再石灰化が促進されることが研究で証明されています。
ガムの摂取の方法ですが、今まで通り食事をした後に追加的に摂取していただければ結構です。歯磨きの前でも後でも大きな差はないようです。また就寝前にも摂取していただいた方がよいでしょう。もし市販のガムを購入する場合は、キシリトールが多く含まれていても砂糖などの糖質が少しでも入っていれば歯垢から酸が放出され虫歯の危険度は高くなりますので、成分をよく確認しましょう。歯科医院専売のガムであれば虫歯になる危険度はなく、歯科医師や歯科衛生士の説明も受けられるので、安心して購入していただけると思います。
ガムを摂取すれば歯磨きをしなくてよいわけではありません。健全な食生活に加え、毎日の歯磨きや定期的検診による予防管理が重要です。
図1 キシリトールガム(オーラルケア)
図2 ポスカ(グリコ)
図3 リカルデント(キャドバリージャパン)
商品名 | キシリトール含有率 | 再石灰化有効成分 | 糖類 |
---|---|---|---|
キシリトールガム (オーラルケア) | 100% | リン酸カルシウム フノラン(フクロノリ抽出物) | 0% |
ポスカ (グリコ) | 59% | リン酸オリゴ糖カルシウム(Pos-Ca) | 0% |
リカルデント (キャドバリージャパン) | 33% | CPP-ACP(牛乳由来成分) | 0% |
表1 代表的な歯科医院専売ガムの成分表

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
院長紹介ページはこちら