歯みがきで出血するのは何が原因?
2022.6.24
歯みがきをしているのにいつも歯肉から出血する場合、その多くは歯肉が赤く腫れていることが原因と思われます。
歯肉が腫れるのは、歯と歯肉の境目に細菌から成る歯垢(プラーク)が付着して歯肉に炎症を引き起こしているからです(図1)。これがいわゆる歯肉炎といわれる所見です。
歯肉炎は通常、適切なブラッシングで歯垢(プラーク)を取り除けば改善されます。
ブラッシングの代表的な方法としては、まずブラシの先端を歯と歯肉の境目に45度の角度で当てて、横向きに15~20回程度小さく振動させて歯垢を除去します(図2)。この方法をバス法といいます。
適切なブラッシングができていれば歯肉炎はなくなり、2週間もすれば、赤くてブヨブヨした歯肉は引き締まって薄いピンク色に改善され、出血もなくなります(図3)。
それでも歯肉から出血する場合は、ブラッシング方法が改善されていないか、適合の悪い詰め物や被せ物が入っていたり、歯肉に接する歯の部位に虫歯が生じたりしているかも知れません。
そのほかに、唾液量が少なく口の中が乾きやすい状態であったり、特定の全身疾患が歯肉炎の原因であったりすることもあります。
改善がみられない場合はご自分で判断せずに、早めに受診し歯科医師に相談することをお勧めします。
図1 前歯部の歯肉炎.歯と歯肉の境目に多量に歯垢(プラーク)が付着して出血しやすい状態になっている
図2 歯肉方向へ斜め45度にブラシの先端を当て、横向きに細かく振動させてプラークを除去する(バス法)
図3 ブラッシング指導をして2週間後の歯肉の状態.歯肉は引き締まり、出血はなくなったる

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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