歯の知覚過敏はどうすれば治る?

歯の知覚過敏はどうすれば治る?

コラム

2019.12.25

知覚過敏とは、冷たいものがしみる、歯ブラシを当てると痛みを感じるといった症状のことを言います。今回は歯の知覚過敏を引き起こす主な原因とその抑制方法について簡単に説明します。

歯は図1のように表層からからエナメル質象牙質歯髄(神経)の順でできています。エナメル質には感覚はありませんが、象牙質には感覚があります。象牙質には無数の象牙細管と呼ばれる管が歯髄に向かって走行しており(図2)、これが歯髄に刺激を伝達する役割を果たしています。象牙質は通常、エナメル質で覆われているのでしみることはありませんが、歯周病で歯肉が痩せたり(図3)、歯ぎしりでエナメル質が崩壊して象牙質が表面に露出すると(2019年6月コラム)、刺激が歯髄に伝達されやすくなります。
ただし象牙質が露出すれば必ず知覚過敏を引き起こす訳ではありません。歯磨きの状態が悪い場合、象牙質表面に付着した歯垢(プラーク)から産出された酸で象牙質表層が溶けて象牙細管が大きく開口して(図4)知覚過敏の症状が出ることがありますが、日常の歯磨きさえきちんとできれば症状が消失する例も数多くあります。

知覚過敏を抑制する方法をいくつか挙げてみます。
シュミテクト®などの知覚過敏抑制歯磨剤は、硝酸カリウムという成分によって象牙細管による刺激伝達を阻害します。
医院で塗布する知覚過敏抑制剤の一つであるシュウ酸は、歯の表層にあるカルシウムと結合してシュウ酸カルシウムという結晶をつくり象牙細管を塞ぎます。また歯の成分であるハイドロキシアパタイトの微粒子を塗布して象牙細管を塞ぐ知覚過敏抑制剤もあります。
知覚過敏が著しい場合は接着性レジンを象牙質表面に充填して象牙質そのものを完全に覆って刺激を遮断する方法もあります。
知覚過敏を引き起こす要因はたくさんありますので、歯科医院を受診して対処法を相談しましょう。

図1
図1 象牙質には歯髄に向かって走行している象牙細管がある

図2
図2 象牙細管が象牙質表面の刺激を歯髄に伝達する

図3
図3 象牙質が露出するので知覚過敏になりやすい

図4
図4 知覚過敏のある象牙質表面は象牙細管が開口している

監修者情報
監修情報

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長

東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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