歯の根元の歯肉にできた“イボ”の正体は?
2017.8.29
歯の痛みはないのに歯肉にイボのようなものが出来てはつぶれ、治ったかと思ったらまたイボができてしまったという経験はありませんか?(図1矢印)
実はこのイボは、あなたの見えない歯の内部で大きな問題が生じているサインの一つです。レントゲンで見てみると、根の先端部に黒くて丸い大きな影が見えますが(図2矢印)、この影は骨が溶けて膿(うみ)が溜まっている場所です。この膿の出口が歯肉に出来た“イボ”なのです。
ではなぜ根の先端部に膿が溜まってしまうのでしょうか?
大きな虫歯で歯の神経(歯髄)を取った際に内部に細菌が残っていると、細菌が増殖して根の先端から骨の方へと押し出され、膿ができる原因となります。この症状は差し歯などが入っている歯に多く見られますが、比較的小さな虫歯治療でも内部で感染を引き起こし、神経(歯髄)が腐敗して同様の症状が現れることがあります。
骨の中で膿が増えてくると通常は大きな痛みが発現しますが、骨を突き破って歯肉から膿が出るほど状態が悪化すると(図3)、痛みはほとんど出なくなります。痛みがないから安心と思いきや、ここまで放置するとかなりの重症です。
治療方法は、差し歯や詰め物を外して歯根の中を消毒して無菌化すれば治癒していきますが、場合によっては歯根の先端を外科的に切除しなければならないこともあります。
あなたの気が付かないうちにこのような事態にならないよう、定期的な検診で歯の内部もチェックしてもらいましょう。
図1
図2
図3

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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