歯が茶色く変色するのは何が原因?
2007.11.29
歯の色が1本だけ茶色に変色している、もしくはそのような人を見かけたことはありませんか?
図1のように茶色に変色している歯のほとんどが、歯の中の神経(歯髄)を治療で除去したか、もしくは虫歯治療後に生きていた神経が壊死しています。
神経(歯髄)のない歯が茶色に変色する原因は、神経を除去した際に歯の内部に残った血液成分と、タンパク質の分解産物とが結合してできた鉄の化合物によるものとされています。これが歯の内部から象牙質を変色させ(図2)、表面から透けて見えているのです。
変色しているからといって歯を細く削り、セラミックなどの差し歯を入れる必要はありません。歯の大部分が残っている場合は、歯の裏側から穴を開け、内部の汚れを化学的に清掃してから漂白剤を注入することで(図2)、歯を大きく削ることなく歯が元の白さに回復します(図3)。歯の質や年齢にもよりますが、通常1~2回の薬の交換で漂白処置は完了します。漂白後は、漂白剤を注入した穴を歯と同じ色の材料で詰めてあげれば治療は完了です。
もし、みなさまのお知り合いで1本だけ歯が変色している人がいたら、教えてあげてはいかがでしょうか。
図1
図2
図3

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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