根管治療の仮封材がとれたまま放置するとどうなる?
2014.1.24
虫歯が大きくなって強い痛みが出たときや、神経(歯髄)のない歯の内部(根管内)が感染を起こしたときは、根管治療が必要になります。
根管治療をすればすぐに痛みが消失することがありますが、だからといって根管内が完全に消毒されたとは限りません。場合によっては根管治療に数回かかることもあります。
痛みがなくなると安心してしまい、根管治療の途中で通院しなくなる方が時々いらっしゃいます。しかしそれは非常に危険です。なぜなら根管治療に使用している蓋(仮封材)は次回の治療がスムーズ進むよう、除去が比較的容易な材質を使用していることが多いからです。したがって長期間放置すると仮封材は削れてなくなったり外れたりすることがよくあります。仮封材が外れてしまえばせっかく根管内を消毒したのに再感染を引き起こし、根管治療を最初からやり直ししなくてはなりません。仮封材が外れてすぐに来院していただければ大きな問題になりませんが、痛みがないからといって大きな穴が開いたまま放置すると、通常よりも虫歯の進行が早く、半年もすれば抜歯をしなくてはならないほど悪化していることはよくあります(図1・図2)。
ひどくなってからでは手遅れになりますので、治療が完了するまでは必ず通院するようにしましょう。
図1 根管治療の仮封材が外れたまま6か月経過した歯の状態
虫歯が大きく進行してしまい、歯の保存ができなくなった
図2 仮封が外れたまま6か月経過した歯のレントゲン写真
黒く見える部位が虫歯。骨よりも深い位置まで虫歯になったため抜歯適応となる

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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