日本は欧米と比べてなぜ虫歯が多いの?
2018.11.21
日本は先進国であるにもかかわらず、欧米の先進国と比較して一人あたりの虫歯の数が多いのですが、それはなぜでしょうか?日本人は甘いものが好きだからでしょうか?
図1は各国の一人平均虫歯経験数と、一人あたりの年間砂糖消費量を比較したグラフです。
このグラフを見ると日本人の砂糖消費量は他の国と比較してかなり少ないにもかかわらず、虫歯の数は2倍以上になっています。このことから虫歯の数は、砂糖の消費量と関係がないと言うことができます。
では日本人は欧米の人よりも歯磨きをしていないのでしょうか?
厚生労働省の調査によると、96%の人が毎日歯を磨き、70%の人が1日2回以上歯を磨いており、歯磨きの仕方はともかく、歯磨きの習慣は定着していると思われます。
日本と欧米では歯に対する意識や生活習慣など、虫歯の発生と関連するいくつかの違いが見られます。
その中で欧米の先進国との大きな違いの一つに、日本では定期的メンテナンスを受ける習慣が圧倒的に低いことが挙げられます。これは日本の歯科事情と関係があるようです。日本は保険制度が充実しており、歯1本あたり数千円で虫歯治療が受けられます。一方アメリカやイギリスでは10万円前後と高額な治療費がかかってしまうため、できるだけ虫歯にならないよう、定期的メンテナンスで歯科を受診することが習慣付いているようです。このように日本で歯科のメンテナンスが習慣付かないのは、治療費が安いので虫歯になってから治療すればいい、といった考え方が根底にあるからだと思われます。
その他、日本が欧米の先進国と比較して虫歯が多い理由として以下の3つが挙げられます。
・歯を強化するフッ素の利用が少ない
・学校や保健所での虫歯予防指導が系統的に行われていない
・間食に用いられている食品に虫歯にならない代用糖(キシリトールなど)の使用が少ない
図1 各国の一人平均虫歯経験数と砂糖消費量

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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