小さい虫歯なのに歯を大きく削られた?

小さい虫歯なのに歯を大きく削られた?

コラム

2018.5.24

見た目は小さい虫歯なのに、予想していたよりも大きく歯を削られてしまったという経験はありませんか?
これは、虫歯の進行の早さが、歯の表面と内部で大きく異なることに原因があります。

図1の虫歯のイラストをご覧下さい。

歯の内部にある象牙質は、表層にあるエナメル質と比較して虫歯菌が産生する酸に対して抵抗力が弱いため、象牙質での虫歯の進行が早くなります。そのため小さい虫歯だと思っていても(図2)表面のエナメル質を削っていくと、中から大きな虫歯が出てくる結果となります(図3)。ですから決して虫歯が小さかったわけではありません。

このような虫歯をきれいに取り除くには、表面の健全なエナメル質を削って入り口を大きくしなければなりません。そうしなければ虫歯を取り残す可能性が大きくなります。特にエナメル質と象牙質との境界部分は虫歯を取り残しやすい部分で(図1 参照)、虫歯を残したまま詰め物をしても虫歯菌が生存していれば、いずれ虫歯が再発してしまう危険度が高くなります。
というわけで、見た目が小さい虫歯でも実際は内部で大きな虫歯になっていることが多いので、小さい虫歯を過剰に大きく削っているのではないことをご理解いただければと思います。

虫歯進行のイメージ
図1虫歯進行のイメージ 虫歯は象牙質での進行が早いので、内部の見えない所で大きくなっていることが多い

治療前
図2治療前 奥歯の溝の一部が茶色くなっている

表面のエナメル質を削っていくと中から大きな虫歯が出てくる
図3表面のエナメル質を削っていくと中から大きな虫歯が出てくる

監修者情報
監修情報

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長

東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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