哺乳瓶う蝕ってどんな虫歯?
2019.4.24
1歳を過ぎてもミルクや甘いジュースが入った哺乳瓶を咥えたまま寝かし付けると、上の前歯を中心に広範囲に虫歯になることがあります。これを哺乳瓶う蝕(ボトルカリエス)といいます。
虫歯になるしくみについて解説します。
哺乳瓶を咥えたまま寝ると上唇の内側にミルクやジュースが停滞します。睡眠中は唾液の分泌が激減して唾液の自浄作用が働かなくなるため、歯の表面が酸性になる時間が長くなり虫歯ができやすくなります(2017年12月コラム参照)。
哺乳瓶う蝕を予防するには、まず1歳を過ぎても哺乳瓶を使用することは止めましょう。とは言っても、お子様が寝付かない場合はなかなか止めることは難しいと思います。哺乳瓶を止められない場合は、寝る前に甘い飲み物を与えないこと。哺乳瓶に入れる飲料は水かお茶にしましょう。また虫歯は歯に付着した歯垢(プラーク)に存在する虫歯菌が酸を放出することで起きるので、就寝前に親御さんがお子様の歯をきちんと磨いてあげるようにしましょう。
もし、口腔内に白色の病変ができてなかなか消えない場合は、歯科や口腔外科を受診してみてください。
図1 スポーツドリンクを飲ませて寝かし付けていた子供にできた哺乳瓶う蝕
上顎前歯だけでなく下顎前歯にも虫歯ができている

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
院長紹介ページはこちら