前歯にできた虫歯の治療方法は?

前歯にできた虫歯の治療方法は?

コラム

2020.12.24

前歯に虫歯ができると見た目の印象は悪くなります。虫歯の大きさ、歯髄(歯の神経)の有無、現在の修復処置の状態などで治療方法が変わりますが、今回は前歯の比較的小さな虫歯のコンポジットレジン修復法について紹介します。

図1は術前写真で、歯と歯の間(歯間部)に虫歯があります。そのまま歯を削ると痛いので局所麻酔後、切削器具で虫歯を除去します(図2)。
切削した穴(窩洞)を消毒した後、ボンディング剤を塗布し(図3)エアで薄く延ばしボンド層を硬化させるための青い光を照射します(図4)。次に隣在歯が接着しないようフィルムをはさみ、コンポジットレジンを填入し同じく青い光を照射します(図5)。光照射によってわずか10秒程度で簡単にレジンが硬化します。あとは形態修正、咬み合わせの調整と研磨で処置が完了します(図6)。

コンポジットレジン修復に使用する材料は各材料メーカーより多数出ています(図7)。ボンディング剤は1液性の簡便なタイプや2液性の接着力重視のタイプがあり、1液性ボンドでも最近では接着力がかなり向上し進化を遂げています。レジン充填材も種類によって流れのよいペーストタイプやパテ状タイプ、また材質的に耐摩耗性が高いもの、表面滑沢性の高いもの、色調再現性の高いものなど様々な特性があり、治療部位や優先順位を考えて材料を選択しています。

術前 歯間部の虫歯が透過して見える
図1 術前
歯間部の虫歯が透過して見える

窩洞形成後 虫歯を切削器具で除去
図2 窩洞形成後
虫歯を切削器具で除去

ボンディング剤塗布 消毒後、ボンドを塗布
図3 ボンディング剤塗布
消毒後、ボンドを塗布

光照射
図4 光照射
ボンドをエアで薄く延ばしボンド層を光で硬化させる

コンポジットレジン充填 ペーストタイプの充填材を填入し光照射で硬化させる
図5 コンポジットレジン充填
ペーストタイプの充填材を填入し光照射で硬化させる

術後 歯と同じ色調になり審美的に回復した
図6 術後
歯と同じ色調になり審美的に回復した

コンポジットレジン修復材料 ボンディング材料と充填材料
図7 コンポジットレジン修復材料
ボンディング材料と充填材料

監修者情報
監修情報

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長

東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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