メタルタトゥーって何?
2010.7.21
金属のかぶせ物(メタルクラウン)や金属フレームを内蔵したセラミッククラウン(セラモメタルクラウン)など、金属を使用したクラウン周囲の歯肉が、帯状あるいは斑点状に黒く変色する場合が時々見られます(図1a,b・図2)。
これはメタルタトゥーといわれるもので、クラウンから溶出した金属イオンが歯肉に入り込んだり、歯を削る際に金属の土台(メタルコア)と一緒に削ることで金属粉が歯肉に入ったりするのが原因であるといわれ、刺青と同じ現象を引き起します。
レーザーや薬品などでメタルタトゥーを除去できる場合がありますが、メスで歯肉を切除しないと除去できない場合もあります。通常は歯肉内部の深い部分まで変色していることが多く、きれいに除去することは困難といえます。したがってこれを未然に防ぐには、オールセラミッククラウンなど、金属を一切使用しない方法(メタルフリー)で治療する必要があります。
クラウン周囲の歯肉が黒く変色する場合はこのメタルタトゥー以外にも、クラウンを装着している歯の神経がないために歯根が変色し、それが歯肉から透過して見えている場合や、歯の状態に関係なく歯肉にメラニン色素が沈着している場合があり、それぞれの対処法があります。ご自分のお口の中で黒く変色した歯肉があって原因が分からない場合は、歯科医とよく相談してください。
図1a 左上前歯の歯肉が帯状に黒く変色しているメタルタトゥーの例
図1b 歯の裏側を見ると金属フレームを使用したセラモメタルクラウンが装着されており、金属イオンの溶出が原因と考えられる
図2 メタルタトゥーが部分的に生じた例(矢印). 金属の土台(メタルコア)が装着された歯を削った時に、金属粉が部分的に歯肉の中に入ったことが原因と考えられる

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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