デンタルドラッグデリバリーシステムとは?

デンタルドラッグデリバリーシステムとは?

コラム

2012.9.27

デンタルドラッグデリバリーシステムDental Drug Delivery System:3DS)とは、口腔内の虫歯菌や歯周病菌をドラッグリテーナーとよばれるマウスピースを使って除菌する予防処置のことをいいます。
口腔内の病原菌である虫歯菌や歯周病菌は、歯の表面や歯周ポケット内に粘性の膜であるバイオフィルムを形成し、抗生物質や消毒薬の浸透を妨げて殺菌されない環境をつくります。また口腔内に投与された消毒薬は唾液によってすぐに濃度が薄くなってしまうので、その消毒効果が半減してしまいます。
そこで口腔内のバイオフィルムを歯科衛生士が機械的に除去(Professional Mechanical Tooth Cleaning:PMTC)した後、ドラッグリテーナー(図1)に抗菌ジェルを入れて口腔内に一定の時間装着することで薬剤の効果を最大限に発揮させて病原菌を殺菌する3DSが考案されました。
処置の流れは、まず口腔内の細菌検査をおこなって虫歯菌や歯周病菌の数を測定します。
細菌数が多く3DSの適応である場合は、ドラッグリテーナーを作製するための歯型を採得します。
次に機械的歯面清掃(PMTC)で歯面に付着したバイオフィルムを除去した後、ドラッグリテーナーに目的に応じた(虫歯予防・歯周病予防)医院専用の薬剤ジェルを塗布して約5分口腔内に装着します(図2)。

このドラッグリテーナーは自宅に持ち帰っていただき、ホームケア用のジェルで約1週間、朝と晩の2回、歯磨き後に装着します。歯ブラシはこの時から再感染予防のために新しいものと交換します。

十分な除菌効果が得られているのかを確認するため約2か月後にもう一度細菌検査を行い、細菌数をチェックします。効果が不十分と判断された場合はもう一度医院でPMTCと3DSを行います。

3DSの除菌効果は4~6か月持続するといわれていますが、虫歯菌や歯周病菌が完全に消滅したわけではなく、あくまでも虫歯や歯周病のリスクを低減するための予防処置ですので、医院で指導をされた方法で毎日十分に歯磨きを行って虫歯や歯周病の再発を防ぎましょう。

薬剤が希釈されずに効率的に歯と歯肉に到達させるドラッグリテーナー
図1 薬剤が希釈されずに効率的に歯と歯肉に到達させるドラッグリテーナー

抗菌ジェルをリテーナーに塗布して口腔内に装着したところ
図2 抗菌ジェルをリテーナーに塗布して口腔内に装着したところ

監修者情報
監修情報

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長

東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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