ダラダラ食いは虫歯になりやすい?

ダラダラ食いは虫歯になりやすい?

コラム

2017.12.20

甘い物を食べると虫歯になりやすいのはよく知られていますが、食事の仕方によっても虫歯のなりやすさが変わってくることはご存知でしょうか?

まずは虫歯の成り立ちについて簡単にご説明します。
虫歯は歯に付着している歯垢(プラーク)に存在する虫歯菌が、食べ物に含まれる糖分を分解して酸を放出し、歯を溶かすことで引き起こされます。この時、歯の表面が徐々に溶けていくことを脱灰といいます。
一方お口の中では、歯の表面が酸で溶かされないよう唾液が酸を中和し歯の表面を硬くしようとします。これを再石灰化といいます。
歯垢が付着している歯の表面ではこの脱灰と再石灰化が繰り返しおこなわれていて、脱灰される時間が長いほど虫歯になりやすくなります。

間食が少なく、規則正しい食事をしている場合は、酸によって歯が脱灰される時間が短く、虫歯になりにくいですが(図1)、間食を多くとるいわゆるダラダラ食いは、歯が脱灰される時間が長くなるため虫歯になりやすくなります(図2)
また虫歯の発生は、唾液の質や量にも大きく影響を受けます。唾液には酸を中和する能力(緩衝能)がありますが、これは人によって強さが異なり、緩衝能が低い人は酸を中和するのに時間がかかるため規則正しい食事をしていても虫歯になりやすいと言えます(図3)

ただしこれらは、歯の表面に虫歯菌を含む歯垢(プラーク)が付着していることが大前提にありますので、歯垢(プラーク)が歯に付着していなければ虫歯になることはありません。また歯垢が付着していてもその中に虫歯菌がほとんどいなければ虫歯になることはありません。いずれにしても日頃からきちんと歯みがきができていれば虫歯になる心配はないと言えます。

規則正しい食事をした場合、唾液による歯の再石灰化の時間が長くなり、虫歯になりにくい。

図1 規則正しい食事をした場合、唾液による歯の再石灰化の時間が長くなり、虫歯になりにくい。

間食が多い場合、歯が脱灰される時間が長くなるため、虫歯になりやすい。

図2 間食が多い場合、歯が脱灰される時間が長くなるため、虫歯になりやすい。

唾液の緩衝能が低い場合、酸が中和されるのに時間がかかり、規則正しい食事でも虫歯になりやすい。

図3 唾液の緩衝能が低い場合、酸が中和されるのに時間がかかり、規則正しい食事でも虫歯になりやすい。

監修者情報
監修情報

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長

東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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