タバコを吸うと歯肉が黒くなる?
2017.9.27
タバコを吸う人の歯肉は、吸わない人と比較して黒くなりやすいということをご存知ですか?
喫煙者の歯肉が黒くなる原因は、タバコのヤニではなくメラニン色素です。(図1)
このメラニン色素の生成を抑制するにはビタミンCが必要となります。シミ・シワ対策のスキンケア製品にビタミンCが含まれているのはこのためです。
タバコを吸うと、ビタミンC吸収率が低下するうえに体内でのビタミンCの代謝が早まり、血中のビタミンCが大量に消費され不足します。これによりメラニン色素生成が抑制されず、歯肉にメラニン色素が沈着しやすくなります。
タバコは、それを吸わないお子様にも影響が出ることがあります。
喫煙者の周囲にいる人がタバコの煙を吸ってしまうことを受動喫煙といいますが、受動喫煙であっても歯肉のメラニン色素沈着を増強して黒くなる場合があります。これは親御さんなどによる喫煙が、お子様の健康に影響を及ぼしていることの表れです。
歯科治療で歯がきれいになっても、歯肉が黒いままでは口元の美しさは半減してしまいます。でもあきらめなくても大丈夫です。
歯肉に沈着したメラニン色素は、薬剤を塗布することで比較的簡単に取り除くことができます。(図2,3)ただし喫煙を続ければ再び歯肉は黒くなってしまいます。
喫煙は歯肉を黒くするだけでなく、歯周病や口臭の原因にもなります。歯周病の進行や口臭は、自分ではなかなか気付くことができませんので、定期的な歯科検診をお勧めします。
図1
喫煙による歯肉へのメラニン色素沈着
図2
比較のため右上歯肉のみ薬剤塗布
図3
右上歯肉のメラニン色素が除去された

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長
東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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