セラミックを入れた歯の根元が黒ずむことがあるのはなぜ?

セラミックを入れた歯の根元が黒ずむことがあるのはなぜ?

コラム

2018.1.30

せっかく前歯にセラミックの被せ物(セラミッククラウン)を入れたのに、気が付いたら歯の根元が黒ずんできて、見た目がとても気になるという患者様が多くいらっしゃいます(図1)

その原因はいくつかありますが、多くはセラミックをかぶせる前に歯の神経(歯髄)を取り除くことで歯自体が茶褐色に変色し(2007年11月コラム(図2)、歯肉がやせた時に歯の根元の変色が見えてくることが原因です。したがって著しい虫歯でやむを得ない場合を除いては歯の神経は残したほうがよいでしょう。

その他、神経のない歯の補強として金属(メタルコア)を入れると歯の色が暗くなったり(図2)、金属フレームにセラミックを焼き付けたクラウン(セラモメタルクラウン)が装着されている場合では光の透過性がなくなったりして、歯の根元が暗く見える場合があります。これらのように金属の使用が原因であれば、金属を使用しない方法(メタルフリー治療・2017年10月コラム)で歯の根元の黒ずみは解消されます。

歯が変色している場合は、たとえオールセラミッククラウンで歯を全て被せても、歯肉から歯根の変色が透過してしまうため歯肉の色は暗くなってしまいます(図1)歯根を事前に漂白してから、歯と同色のファイバーポストコアを接着し(図3)オールセラミッククラウンを装着すれば(図4)、歯肉の変色も改善され、臨在する健全歯のように透明感のある自然な歯に見えます。

この処置方法は、2004年に歯科雑誌に投稿しましたが、ここまでこだわっている歯科医院は少ないと思います。

セラミッククラウンが装着された歯の根元が茶色く変色し、歯肉もやや黒ずんでいる
図1 セラミッククラウンが装着された歯の根元が茶色く変色し、歯肉もやや黒ずんでいる。

セラミッククラウンを除去すると歯の神経がなくメタルコアが入っていたため、歯の根元が茶色に変色している。
図2 セラミッククラウンを除去すると歯の神経がなくメタルコアが入っていたため、歯の根元が茶色に変色している。

変色した歯根を漂白し、歯と同色のファイバーポストコアを接着すると、歯質が明るい色調に改善されている。
図3 変色した歯根を漂白し、歯と同色のファイバーポストコアを接着すると、歯質が明るい色調に改善されている。

オールセラミッククラウン装着後.歯の色調も隣在歯のように自然になり、歯肉の色まで明るく改善された。
図4 オールセラミッククラウン装着後.歯の色調も隣在歯のように自然になり、歯肉の色まで明るく改善された。

監修者情報
監修情報

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長

東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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