はさみ状咬合って何?

はさみ状咬合って何?

コラム

2020.9.30

はさみ状咬合(シザースバイト)とは、図1、図2のように上の奥歯が外側に、下の奥歯が内側にすれ違うような咬み合わせをしている状態をいいます。
はさみ状咬合は、その歯同士でうまく咀嚼できないばかりでなく、様々な悪影響を及ぼします。

一つ目は、上の奥歯が外側に、下の奥歯が内側に傾斜しているため、歯ブラシをうまく当てることができず虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。

二つ目は、はさみ状咬合の歯には水平方向の力がかかりやすく、上の歯を外側に、下の歯を内側に押す力によって歯の傾斜がさらに大きくなる可能性があります。

三つ目は、すれ違っている歯同士の横向きの力を軽減しようと無意識のうちに下顎が横に変位していることがあります。図3の写真を見ると下顎が左に変位していることが確認できます。

はさみ状咬合があってもその歯並びに慣れてしまっているため、自覚症状がほとんどなく、知らないうちに虫歯になったり咬み合わせのずれが生じたりしていることが多いようです。
治療方法は基本的には矯正治療になりますが、成人になって咬み合わせが安定している時期よりは、奥歯が生え揃って間もない若い時期のほうがよいと思います。


図1 はさみ状咬合の歯 上の奥歯が外側にずれて咬み合わせがすれ違っている


図2 はさみ状咬合の歯 図1の歯を内側から見たところ


図3 はさみ状咬合による下顎の変位(矢印) 右側奥歯のはさみ状咬合により下顎が左にずれている

監修者情報
監修情報

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長

東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
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