ねじれた歯並びを短期間で治すには?

ねじれた歯並びを短期間で治すには?

コラム

2021.8.25

前歯がねじれて見た目が悪く、きれいな歯並びにしたい場合、治療の方法として最も良いと方法は、歯を削らずに済む矯正です。しかしながら矯正は治療期間が長くかかりますので、それでも差し支えなければの話です。今回の症例のように、歯のねじれの原因が矯正後の後戻りによるものであれば(図1)、もう一度矯正をやり直すことに抵抗を感じるでしょう。
矯正をせずに短期間で歯並びを治すには、かぶせ物(クラウン)で補正するしかありません。ただし、そこには歯のねじれを補正するために、健全な歯を大きく削除するというデメリットが生じます。またその際に歯髄(歯の神経)が露出する場合も考えられます。


図1 術前 矯正後の後戻りで、歯がねじれてきた(矢印)

この治療法を行うにあたっては、自然な色調と耐久性を長期にわたって維持し歯を長持ちさせなくてはなりません。
ここで重要なポイントがあります。

一つは歯髄(歯の神経)が露出しても除去せずに保存することです(図2)。歯髄は歯の成熟に関与しているので、若年者であればなおさら保存することが重要になります。また歯髄を除去すると歯が変色することが多いため、かぶせ物をしても歯根の変色が透過して歯肉が暗く見えてしまい、長期的にみると見た目が損なわれる結果となってしまいます。


図2 形成時に神経(歯髄)が露出しても、保存することが可能。歯の変色が防止できる。

もう一つは、かぶせ物には金属フレームの入っていないオールセラミッククラウンを使用することです。この場合、天然歯と同じような光の透過性があり自然な色調に見えます(図3)。また、つなぎ目も目立たないというメリットもあります。


図3 術後 オールセラミッククラウンにより短期間で自然な色調ときれいな歯並びが得られた。

もし前歯の歯並びが気になるようでしたら、いくつかの治療方法が提案できますので一度ご相談下さい。

監修者情報
監修情報

森田 誠(もりた まこと) 山手通り歯科 院長

東北大学卒業後、仙台市内の歯科医院に勤務。その後、新宿区の元日本接着歯学会副会長が在籍する歯科医院で8年間勤務。その間、鶴見大学歯学部歯科補綴学第二講座に所属し学位(歯学博士)を取得。
日本歯科審美学会、日本顎咬合学会、日本補綴歯科学会、日本接着歯科学会、日本歯科保存学会に所属し、なるべく歯を残し、美しさを追求することに精進する。その結果、数多くの著書を手掛け、長きの臨床と研究により接着性・審美性に優れた「接着修復治療」を実践。現在、中目黒で開業し日々精度の高い治療を行っている。
院長紹介ページはこちら

TOP