永久歯が生えてすぐに大きく矯正移動させるとどうなる?

永久歯が生えてすぐに大きく矯正移動させるとどうなる?

コラム

2020.3.31

乳歯から永久歯に生え変わる時期において、永久歯は既に歯肉の中で歯冠部(歯の頭の部分)が硬く石灰化し完成しています。
しかし歯根の石灰化は途中までしか進んでおらず、歯根全体の3分の1程度しか完成していません(1)。歯根の石灰化が進むにつれて歯はどんどん萌出していきますが、萌出完了直後も歯根の先端はまだ完成していません(図2)。
永久歯が萌出を開始してから歯根が先端まで完成するのにおよそ2年かかります。永久歯の歯並びが悪い場合、小児期から矯正をすることがありますが、十分に萌出しないうちに歯を大きく動かしてしまうと、歯根が曲がった状態で石灰化が行われ完成します(図3)。

このように大きく屈曲した歯根は、その歯が虫歯にならなければ問題ありませんが、万一大きな虫歯になってしまった場合には、治療に大きな支障をきたすことがあります。歯の神経(歯髄)にまで及ぶ虫歯になってしまうと、神経を除去しなければならないことがあります(根管治療)。 歯根がまっすぐな歯は根管治療が容易ですが、大きく屈曲した歯根の根管治療は、治療器具がきちんと入らないため、十分な根管治療ができません。
根管内部の神経(歯髄)組織の取り残しがあると、組織が融解あるいは感染を起こして根尖部に炎症が生じ、予後が悪くなります。
したがって将来的な歯の治療のことも考慮に入れて、歯根が屈曲しないよう、小児期の矯正は専門医の十分な診査のもとで行うことが望ましいと考えます。


図1 上顎第2小臼歯が萌出する直前のレントゲン写真
歯冠は完成しているが、歯根は3分の1程度しかできていない


図2 上顎第2小臼歯が完全に生え揃った時のレントゲン写真(乳歯が抜けて1年後)
歯根の完成は3分の2程度で、萌出から歯根完成まで約2年かかる


図3 萌出後まもなく矯正で大きく移動させた上顎第2小臼歯のレントゲン写真
歯の移動後に根尖部が石灰化したため、歯が大きく屈曲している

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